1855年の格付けの際、白ではソーテルヌとバルザックだけが格付けの対象になった。この時、「イケム」は優れた品質により、唯一特別第1級に選出。イケムと比較しうる白ワインはブルゴーニュの雄「モンラッシェ」ぐらいとも言われるほどです。ブドウの樹一本からグラス一杯のワインしか造られない、品質が自己の定める水準に満たない年には容赦なく生産しない清廉さ、黄金色に輝くこの雫は、本当に飲む黄金そのものです。Chateau d'Yquem シャトー・ディケム(イケム)Chateau d'Yquemシャトー・ディケム(イケム)世界最高峰の甘口白ワインで全世界が賞賛!独自の地位を保つ唯一のシャトー!神々しい甘美な風味と長い熟成によって生まれる限りない深みは並ぶものがありません!世界の貴腐ワインの頂点に君臨する「シャトー・ディケム」。もちろんソーテルヌの格付けにおいても、ただひとつだけプルミエ・クリュ・シュペリュールにランクされています。中世には国王の所有物 歴史は古く、中世にはイギリス国王が所有。その後、フランスとイギリス間で100年戦争が起こった結果、1453年、フランス国王のシャルル7世のものとなります。その後も、国有である時代が続き、1711年、代々シャトーの管理をしていたソヴァージュ家のレオン・ドゥ・ソヴァージュが、国から所有権を買い取りソヴァージュ家が単独のオーナーとなりました。 ソヴァージュ家はこの地方の名家で、1565年にシャルル9世がディケムのエステートを訪れた翌年、貴族に任命されます。彼らはディケムの土地にブドウを植樹し、また現在の城館を建てました。1785年、レオン・ドゥ・ソヴァージュの曾孫フランソワーズ・ジョセフィーヌ・ドゥ・ソヴァージュ・ディケムがルイ・アメデ・ドゥ・リュール・サリュース伯爵と結婚し、シャトーはリュール・サリュース家の所有となりました。 1787年に、後のアメリカ大統領のトーマス・ジェファーソンがディケムを30ケース購入し、1790年にジョセフィーヌに宛てた手紙の中でワインを絶賛しています。 1850年以降、ディケムは大人気になり、コンスタンティン大公が絶賛し1樽に2万フラン金貨を支払った事や、明治天皇も定期的に購入とのことです。 1999年までリュール・サリュース家が所有し、特にワイン造りに熱心なのは、ルイ・アマデとフランソワーズ・ジョセフィーヌの孫のロマン・ベルトランドと、その孫のベルトランドでした。ベルトランドは1968年まで在命で、その後はアレクサンドル・ドゥ・リュール・サリュースに引き継がれます。1999年から、【ルイ・ヴィトン・モエ・エ・ヘネシー・グループ】がシャトーの筆頭株主となりました。 シャトーの総責任者のアレクサンドルが引退し、2004年5月からは【シャトー・シュヴァル・ブラン】の総責任者でもあるピエール・リュルトンが総責任者に任命され、現在に至っています。ワイン造り ボルドーからN113号線を通ってバルサックへ入り、そこを通り抜けてソーテルヌ村に向かうと、海抜約80mという小高い丘があり。小丘の中腹には1級シャトーが集まり、頂点の部分に建つ壮麗なシャトーが、ソーテルヌで唯一の“1級特別級”であるシャトー・ディケム(またはイケム)です。「115ha」の広大なブドウ畑は、浸透性の少ない粘土とガロンヌ川によって運ばれた砂利で構成された丘にあります。畑は、表土は、砂利が混じった薄い砂質層に覆われています。しかし畑が広大なため、表土に砂利が多いところ、砂利が無くほぼ砂質のところ、表土に下部の粘土が露出しているところなど、畑も場所によってその様相が変わってきます。 どの畑も、土壌の性質の違があり、ディケムではその違いがより明白です。このため、質や特徴がそれぞれ異なるブドウが収穫されて、ワインに複雑な味と香りになります。 また有名な話ですが、ディケムのブドウ畑には、19世紀という早い時期から排水パイプが敷かれており、現在ではその距離は約100kmにも及んでいます。ディケムの畑があるこの粘土の丘はもともと排水が悪く、ブドウの根の発育が悪いので、排水処理が必要なのです。通常、貴腐化はブドウ全体ではなく、部分部分で始まるので、ブドウは房ごとに収穫せず、貴腐化部分だけを切り取り、同じ房を何度も収穫します。しかし、完全に糖度が上がりきっていないブドウも混じってしまうことは避けられません。このため、全体としての糖度は下がります。シャトーではそれを嫌って、特に収穫時期に雨が降り、糖分が流された場合などに関し、完全に貴腐化している粒だけを収穫することもあります。これは非常に手間で、大変な作業です。潜在アルコール度数が20度に達した時点で収穫が開始されます。 ブドウは、収穫されてから1時間以内に醸造所へと運ばれ収穫した日にちで分けるため、絞った段階でセミヨンとソーヴィニヨン・ブランが混じることもあります。また、ディケムでは今まで一度も補糖をしたことがない”ということで、それがシャトーの誇りとなっているのです。果汁は地下タンクに移され、発酵が始まらないように温度を下げた状態で、一晩そのまま寝かされます。翌日、上澄みだけを新樽に入れ、室温を上げて、アルコール発酵を開始させます。アルコール発酵は2?6週間と、期間は幅広く、これは自然酵母のみで発酵を行っている為です。アルコール発酵が自然と終了したものと判断したものは、ステンレスタンクに移されてマイナス4℃で、再度発酵が始まらないようにして樽の中にまた戻されます。 唯一の“1級特別級”に格付けされているディケムは、こうしたこだわりによってその名声を維持してきたのです。ロバート・パーカーJr.「ボルドー第4版」 ソーテルヌ地方の中心部に位置し、沢山の第一級シャトーに囲まれた畑を見下ろす小さな丘の頂きに雄大に広がる。1785年から1997年までの間、このシャトーは、まさに一族によって所有されていた。アレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵は、この広大なシャトーの経営責任者である一族の最も新しいメンバーで、1968年に叔父から引き継いだ。1997年に、このシャトーは巨大なコングロマリット、モエ=ヘネシーに売却されたが、この売却はリュル・サリュース伯爵の異議により成立せず、現在も彼が管理人である。 イケムの偉大さとユニークさにはいくつかの要因がある。第一は独自の微気候を伴う完璧な立地条件がある。第二に、リュル・サリュース家は、97kmにも及ぶパイプを用いた精巧な排水システムを設置。第三に、経済的な損失やトラブルを斟酌せずに、最も良質なワインだけを生産しようという狂信的とも言える執念が存在する。近隣の畑に比べこれほど優れている最大の理由は、この最後の要因にある。 ディケムでは、1本のブドウの木からたったグラス1杯のワインしか造らない。イケムに6週間から8週間滞在し、最低でも4回はブドウ畑をまわる150人もの摘み手のグループにより、ブドウが完璧に成熟するのを待って一粒一粒摘まれる。1964年は、摘み手達は、13回にも畑をまわったが、不向きと見なされるブドウを収穫しただけで、結局このヴィンテージは生産しなかった。ワイン醸造りをしているシャトーのなかで、収穫全体を自発的に格下のワインにまわすところ、あるいはそれが経済的に可能なところはほとんどない。 ディケムは信じられないような熟成の可能性を持っている。イケムのワインはあまりにリッチで、ふくよかで甘く、その多くはいつも10回目の誕生日を迎える前に飲まれてしまう。しかし、イケムが最高の飲み頃になるには15年から20年の年月が必要であり、偉大なヴィンテージは、50年あるいは75年以上以上経っても、新鮮で退廃的な芳醇さを備え続けている。私がかつて飲んだことのある最も偉大なイケムは1921年ものだった。驚くほど新鮮で生き生きとしており、その贅沢さと豊かさは決して忘れることはないだろう。 こうした品質への情熱は、何も畑に限ったことではない。ワインは新樽の中で3年以上かけて熟成され、全収穫量の20%が蒸発により失われる。リュル・サリュース伯爵が瓶詰めできると見なしたワインでも、最良の樽からだけ厳しく選別される。1975年、1976年、1980年といった秀逸な年には、樽の20%が排除された。1979年のような困難な年には、60%のワインがはずされた。1978年のような手に負えないヴィンテージでは、85%のワインがイケムとして売るのにふさわしくないと判断された。私の知る限り、これほど無情な選別過程をとり入れているシャトーはほかにない。ディケムでは、芳醇さが少しでも失われることを恐れて、決して濾過処理を行わない。 ディケムはまた「Y」と呼ばれる辛口のワインを造っている。これは特色のあるワインで、ディケムらしいブーケを持ち、樽香が強く、味は辛口で、通常は非常にフルボディで際立ってアルコール度数が高く、力強いワインで、私の舌には、フォアグラのようなコクのある食べ物と一緒に出されるのが最高である。ディケムは他の有名なボルドー・ワインと違って、プリムール、つまり先物で売られることはない。このワインは、通常はそのヴィンテージの4年後に、極めて高い価格で出荷されるが、費やされた労力、リスク、そして厳格な選別過程を考えれば、最高の値札に値する数少ない高級価格ワインのひとつである。一般的な評価ディケムがボルドーに2つとない偉大なワインであることは、説得力のある真実だと主張できる。平均年間生産量:10万本畑 面積:125ha(生産中の畑は103ha)平均樹齢:30年密植度:6500本平均産出量:8hl/ha育て方:発酵と42ヶ月間の熟成はオークの新樽で行う。清澄も濾過も行う。ブレンド比率:セミヨン80%、ソーヴィニョン・ブラン20%*注記:このシャトーはイグレック(YGREC)と呼ばれる辛口白ワインも生産している。 造られたヴィンテージは以下の通り:2000年、1996年、1994年、1988年、1985年、1980年、1979年、1978年、1977年、1973年、1972年、1971年、1969年、1968年、1966年、1965年、1964年、1962年、1960年、1959年。 ディケムが生産されなかったのは1992年、1974年、1972年、1964年、1952年、1951年、1930年、1915年、1910年。
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